マイレージ・マイライフ 原題「Up in the Air(宙ぶらりん)」になってしまった人の人生を考えさせられる映画

2016年05月07日(土)


アメリカ在住の映画評論家、町山智宏さんがハート・ロッカーをこう評していました。
最低の泥沼になっているイラクという職場。
自分のせいで泥沼になったわけでもない主人公が、その職場でボロボロになる。
しかし、一度家に帰った彼は、「自分が出来ることはコレしかないんだ」と悟り、イラクに戻る。

昔は映画監督になりたかったけど、今は評論家になっているという彼の人生。
でも、どんな状況でも、自分がやれることをやるだけだと悟る主人公に共感を覚えたと。

そんな彼が勧めている映画が、このマイレージ・マイライフ。

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年間300日以上出張し、マイレージを貯めるのが趣味な主人公の話。
ちなみに、英語の原題はUp to the Air(宙ぶらりん)

彼の仕事は、解雇告知人。
部下にクビを通告できない上司に代わって解雇を通告する会社の社員です。

この不況の最中、仕事の量はうなぎ上り。
全米中を飛び回り、解雇宣告される人が暴れないように、絶望しないように、訴訟を起こさないように、上手く言いくるめるのが彼の仕事です。

何年間も勤めた会社を、突如クビになる人たちはいろいろな反応を示します。

「なぜ私なの?こんなに会社に貢献してきたのに」
「このことをどうやって家族に説明すればいいんだ」
「失業は親族の死の次にストレスレベルが高いと言われてるけど、実際に宣告されてわかった。これは、自分の死だ。」

日本人ほどではないにせよ、やっぱり人生の中でかなりの割合を占めている「仕事」
時間的ではなく、プライドや生き甲斐に関しても同様です。

その「仕事」から突如戦力外通告を出され、外にほっぽり出されてしまう状況。
いきなり、海のど真ん中に放り出されるような瞬間。

主人公は、自分の仕事を
「彼らを、ほのかな希望が見えるところまで連れて行き、そこで再び海に入れて泳がせる仕事だ」と評しています。

失業した登場人物のうち何人かは、家族の話をします。
仕事と同じくらい、自分を支えてくれているのが家族なのかもしれません。

さて、そんな風に人を支えているモノをブツブツと切りまくる主人公。
自分自身は、年間数十日しか家には帰らず、親戚づきあいもあまりない、浮き草生活。
ってか、飛行機で浮いている時間が長い。。

そんな彼が、あるときふとしたきっかけで、「仕事」に絶望し、「家族のようなもの」から切り離されます。

仕事以外は宙ぶらりんの状況にあった彼が、本当に全て宙ぶらりんになってしまうわけです。

さて、話は変わって現代日本。
失業率はうなぎ上り。特に給料の高い中高年が数十年間自分のプライドの源泉となっている会社から戦力外通告され、宙ぶらりんになっています。

もっというと、日本という国自体が貧乏になり、世界での存在価値が減少し、多くの人たちのアイデンティティが宙ぶらりんになりつつあります。

私はその辺をあまり気にしない人なので、会社を辞めることになんのためらいもなく、国だってしばらくの間海外移住して、良くなったら帰ってこようくらいのことを普通に考えてしまいます。

でも、歳をとり、自分が出来ることの選択肢が狭まり、自分が何が出来るかが明確にわかってきてしまうと、先の町山さんのように、「最低の場所でも出来ることをやっていかねばならない」という気持ちになるのでしょうか?

少なくとも、私が会ってきた多くの日本企業の従業員の人は、会社から戦力外通告されたら宙ぶらりんになってしまうだろうな・・と考えさせられます。

そして、現在日本人で一番人数が多い年代が50代。
この不況で、彼らのクビが次々と切られると・・・宙ぶらりんの人々が日本にはたくさん出てくることが予想されます。

そんなとき、彼らをつなぎ止めてくれるモノはあるのか?
彼らが、こんな状態でも、俺はこれをやるしかないのだといいきれるモノはあるのか?

そんな、ごく近い近未来の日本のことを考えさせられてしまう映画でした。
でも、きっと、たくさんの人が観ておくべき映画だと思います。

一度、予習しておけば、ほのかな希望が見えるところまでいける確率が高くなるから。
そういや、私が仕事辞めて世界一周したのも、この「Up in the Air」な気持ちを体感したかったからなんだよな。
宙ぶらりんでも、やりたいことがしっかりわかっていれば、人生は楽しいですよ。


著者近景

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Author:もりぞお / 森山たつを

海外就職研究家 兼
電子書籍個人出版研究家


人がやらないマニアックな領域を、日々自身が実験台になって研究しています。
詳しいプロフィールは"About もりぞお"をご覧ください。
取材、記事執筆、人生相談、なんでもうけたまわります。

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