セカ就推薦図書03 ヤンキー経済 「マイルドヤンキー」は人類のスタンダードだと思う

2014年03月24日(月)


セカ就推薦図書03 ヤンキー経済

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ネットにあまり出てこないがボリュームがある若者の一部層「マイルドヤンキー」と分類し、その消費傾向について分析した本。
彼らは、地元(それも半径5km以内)で生活し、そこから離れることを頑なに拒む。中学校当時の仲間たちと楽しくつるむのを至上とする人達である。

この本の中で、彼らの特徴として何度も出ているのが
「既知のものから選択しない」
ということ。

中学校時代から知っている友達とつるみ、勝手知ってる地元の中だけで生活し、TV CMなどで知っているものの中から楽しむ。
これは、本屋に行って本を探し、ググって情報を検索し、SNSで同好の人を探すような、「この本を読みそうな人」からみたら、まるで異世界のモンスターもしくは、どっかの川底にへばりついている、体長1.8mのオオサンショウウオの様に感じられる。
そして、そのオオサンショウウオが、ソーシャルゲームやLINE、ラウンドワンやパチンコ、エグザイルやイオンを消費しているということがよくわかる構成になっている。これらの業種がテレビコマーシャルを打ちまくっている理由も。

この本を読むような人は、マイルドヤンキーを「愚鈍な生物」のように感じるかも知れない。しかし、冷静に考えたら、人類史上ほとんどの人が「既知のものから選択しない」傾向にあったと思う。
インターネットがなかった時代「検索」などという概念はなく、新しいものを自分で探す機会なんて、百科事典か図書館くらいしかなかった。そして、多くの家庭で百科事典なんて埃を被っていたし、図書館なんて行く人はごく少数にすぎない。
交友関係は学生時代の友達か会社の同僚のみ。自分の会社以外に関しては「知らない」から転職する人も少数派。盆と正月のレジャーは里帰り。そんなのが普通なわけだ。

自分で情報を発信しフォロワーを何千人もつくったり、世界のあちこちに出かけて面白いものを見つけたり外国で友達をつくったり、いろんな土地でビジネスの可能性を探して実際に初めて見たり何てことをやるのは、ごく一部の変な人だったのだ。「セカ就!」なんて言ってる奴は、コロンブスとか勝海舟みたいなド変態に違いない。

現在は、インターネットを中心に、ツールが揃ってきているので、その「ごく一部の変な人」の数が一気に増えてきている。それでも大多数の人は、道具があってもそんなことをしたくないわけで、その変わらない人達が「マイルドヤンキー」なのだ。

この本は、博報堂のチームが作っているだけあって、彼らに何を提供すれば彼らが喜ぶのか(≒彼らから金を巻き上げられるのか)のヒントがたくさん記載されている。
彼らが喜ぶことを提供できれば、この国の幸福度を大きく上げることに繋がるので、この研究は実に有意義だと思う。

ただ、本書に書かれているマイルドヤンキーは、東京や神戸近郊の人達の実例が多く、地方に行くにつれて現状は厳しくなっているはず。
そして、東京近郊のマイルドヤンキーでさえ、その幸せはささやかであり、さらにその幸せをキープするギリギリのところまで経済環境は悪化している。その彼らのギリギリの幸せがなくなったとき、日本という国は本当の意味で絶望の国になるんだろう。

この本を読んで「自分の『地元』とは違う」とか「賛美するな」という意見が出ることはよくわかる。
でも、まず、一部のサンプルとして分析したことは素晴らしく意義があることだと思う。ここからいかにして、彼らにとっても「幸せ」な国にするのか。日本でビジネスをする人のひとつの大きな課題なのだ。

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まあ、実際私も「ニッポン、かなり土俵際まで来てるな…」と感じましたが。


著者近景

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Author:もりぞお / 森山たつを

海外就職研究家 兼
電子書籍個人出版研究家


人がやらないマニアックな領域を、日々自身が実験台になって研究しています。
詳しいプロフィールは"About もりぞお"をご覧ください。
取材、記事執筆、人生相談、なんでもうけたまわります。

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